2026年9月17日(木)

検査技術科学専攻の牛木隆志准教授らのグループが、造血幹細胞移植後の合併症である移植片対宿主病について新たな研究成果を国際誌に発表しました。

血液・腫瘍検査学の牛木隆志准教授、新潟大学大学院医歯学総合研究科の石黒 創特任准教授、同研究科博士課程のSijia Wuさんらの研究グループは、造血幹細胞移植後に生じる重大な合併症である移植片対宿主病(GVHD)の新たな制御機構を明らかにしました。
サイトカインシグナル伝達抑制因子(SOCS)は、過剰なサイトカインシグナル、特にJAK–STAT経路を抑制することにより、免疫応答の制御に重要な役割を果たすタンパク質群です。SOCSファミリーは8種類のタンパク質(SOCS1~7およびCIS)から構成され、各タンパク質が感染症や炎症性疾患など、さまざまな病態における炎症反応の制御に関与しています。
牛木准教授らの研究グループはこれまでに、SOCS3が高脂肪食に起因する全身性炎症を制御することを明らかにし、特に栄養に関連する炎症の抑制に重要な役割を果たす可能性を報告してきました(Cho K, Ushiki T, iScience, 2021. DOI: 10.1016/j.isci.2021.103117)。
一方、近年、高脂肪食による腸内細菌叢の乱れや肥満が、造血幹細胞移植後のGVHDを増悪させる可能性が示唆されています。今回の研究では、マウスモデルを用いて、高脂肪食の負荷によりGVHDが増悪することを明らかにしました。さらに、SOCS3がTリンパ球の活性化とホーミング関連分子の発現を抑制することにより、高脂肪食によるGVHDの増悪を抑えている可能性を見いだしました。
本研究で得られた知見は、GVHDに対する新たな治療法を検討する上で重要であるとともに、造血幹細胞移植後の栄養管理のあり方を考える上でも、有用な示唆を与えるものです。
本研究成果は、国際学術誌『Scientific Reports』(Q1ジャーナル)のオンライン版に、2026年9月12日付で掲載されました。
論文タイトル
SOCS3 knockout of donor transplanted cells exacerbates GVHD associated with a high-fat diet in murine allogeneic HSCT
著者
Sijia Wu1, 石黒 創1, 諏訪部 達也1, 吉池未帆2, 鹿目 光2, 小林孝也2, 土田拓睦1, 片桐隆幸1, 布施香子1, 増子正義1, Alexey Annenkov3, 大橋瑠子3, 荒木雅弥4,中川 嘉4, 平位秀世5, 進藤岳郎6, 曽根博仁1, 牛木隆志1,2*

所属

  1. 新潟大学医学部医学科 血液内科学
  2. 新潟大学大学院医歯保健学研究科 血液・腫瘍検査学
  3. 新潟大学医学部医学科研究推進センター 病理組織標本部門
  4. 富山大学和漢医薬学総合研究所 研究開発部門・複雑系解析分野
  5. 東京薬科大学生命科学部生命科学科 幹細胞制御学
  6. 広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科研究分野
*責任著者

DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-026-69260-5

研究費
本研究は公益財団法人小林財団研究助成金、JSPS科研費、日本血液学会研究助成金の支援を受けて実施されました。

血液・腫瘍検査学HP
https://ushiki-lab.jp/
 

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