2025年5月1日(木)

検査技術科学専攻の牛木隆志准教授らのグループが、アスリートにおける血小板エネルギー代謝を明らかにする研究成果を国際誌に発表しました。

血液・腫瘍検査学 牛木隆志准教授、川瀬知之フェローおよび新潟大学医学部 整形外科教室の望月友晴講師らの研究グループは、多血小板血漿 (PRP)について血小板biologyとスポーツ科学を融合した新たな再生医療の研究分野を確立しており、新潟大学医学部から世界に向けて新たな知見を発信し続けています。

PRP治療はアスリートの筋・腱損傷に対して使用される再生医療であり、スポーツ医学領域において手術を回避し得る有効な治療選択肢の一つとして広く受け入れられています。また、その治療効果はPRP中に含まれる血小板に貯蔵されている成長因子で規定されると考えられています。しかし、その再生力を規定する因子はいまだ明らかではありません。そこで研究グループではPRP中の血小板に関連した研究を行い、その成果を報告してきました。

今回、研究グループでは血小板ミトコンドリア機能に着目し、アスリートと非アスリートの血小板について、血小板ATPおよび血小板O2消費量、血漿乳酸値を実測し、24時間の培養上清中のこれらの数値を定量化しました。その結果、定期的な運動習慣(特に有酸素運動)は、血小板において酸化的リン酸化を介して血小板のエネルギー代謝に変化を及し得ることが示唆されました。これらの結果は血小板の活性化などを介して、成長因子の産生量などに影響を与える可能性があり、PRPの再生メカニズム解明の一助となることが期待されます。

 本研究成果は、国際自然科学誌「Health Science Reports」の2025年4月30日付(EST)オンライン版に掲載されました。

論文タイトル
Effects of Regular Habitual Exercise on Platelet Energetics in Male Recreational Contact Sports Student‐Athletes: A Cross‐Sectional Study
著者
望月友晴1*, 牛木隆志2,3,4*, 古賀 寛5, 鈴木克弥3, 佐藤美里3, 大澤まみ2,上村正巳3, 石黒 創4, 諏訪部達也4, 川瀬知之1,2,3
所属

  1. 新潟大学医学部医学科 整形外科学
  2. 新潟大学大学院 保健学研究科 血液・腫瘍検査学
  3. 新潟大学医歯学総合病院 輸血・再生・細胞治療センター
  4. 新潟大学医学部医学科 血液・内分泌・代謝内科学
  5. 新潟大学大学院医歯学総合研究科 フレイル予防のための運動器科学講座

*共同筆頭著者

DOI: https://doi.org/10.1002/hsr2.70784
 

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