博士後期課程

本分野では先端医療機器や新たな診断技術を開発するとともに,生体機能の新しい解析法とその理論の構築や次世代医用画像診断支援システムの開発や応用を積極的に推進することを課題として,それに対応できる企業における研究者や大学等における教育研究者,または高度医療専門職者を育成するために以下の4つの領域からなる授業科目を配置する。
 
「医用物理学特講」では画像診断評価手法の開発や治療方法の開拓について修得する。また,新たな医療診断機器を開発するため基礎的研究や放射線画像機器における物理特性の測定及びその評価を通して画像診断における非侵襲性と精密度を向上させるための先端研究について学ぶ。「生体機能情報解析学特講」では放射線,電磁波及び超音波等に基づいた医療診断装置によりナノからマクロに至る生体機能に関して生体医工学的に解析する理論を構築し,新たな手法を開発する知識を学ぶ。更には放射性薬剤を利用した核医学診断を用いて腫瘍,心臓疾患,脳血管障害等の情報を的確に解析する手法について学ぶ。「臨床画像診断学特講」ではCT,MRI,SPECT,PETなどの画像検査所見と臨床像,病理形態像,並びに機能面との関係及び診断能を高めるための方法論について学ぶ。「医用画像情報学特講」では,放射線,電磁波,超音波などの媒体を用いて得た画像情報を異なる角度から処理・加工する技術,解析手法の開発とその応用について学ぶと共に,診断支援システムやネットワークシステムの構築法の開発について修得する。以上の各授業科目は,各分野に関する専門的知識を身に付けるとともに,幅広い視野を修得できる講義内容であり,研究者養成だけでなく,高度医療専門職者養成にも対応できるものである。これらの講義と併行して行われる演習においては,研究者志向の者に対しては研究能力の育成に必要な理論構築や技術開発に関する方法論の内容を含んだものとし,高度医療専門職者志向の者に対しては,先端理論と技術の応用並びにその有効性に重点をおいたものとする。
 
「保健学特定研究(放射線技術科学)」では,学生各自が設定したテーマについて研究指導教員の指導を受けながら研究を進める。研究指導教員は研究指導補佐教員との連携のもとに,研究計画の妥当性の検討,定期的な研究進捗状況の点検,並びに学会報告や科学雑誌投稿の技術指導等の研究支援を行う。また,専門を異にする教員を交えて行われる中間発表において,多面的な視点から研究内容の検討を行う。高度医療専門職者を志向する学生の研究発表においては,学内外の病院や企業の実務経験の深い実践家を招き,意見交換を行う。
 
以上の如く本分野の教育課程は,『共通コア科目』を修得した上で,進路に応じて『研究支持科目』から1科目を選択し,『放射線技術科学専門科目』で特化した分野を修学する一連のコースワークと,これらと併行して「保健学特定研究」でリサーチワークを進めていく編成となっている。