博士後期課程

 本分野では,「新興・再興感染症の早期診断と蔓延防止」及び「生活習慣病の早期診断」の2つの視点から,遺伝子検査,生体情報処理,病態病理検査,免疫学的及び血液学的検査の知識と技術を駆使して,迅速かつ高精度の検査方法を開発することができる教育研究者あるいは高度医療専門職者を育成するために以下の4つの領域からなる授業科目を設置する。
 
 新興・再興感染症への対応と生活習慣病予防の視点より「ゲノム・微生物病態検査科学特講」,「生体システム機能検査科学特講」,「病態病理検査科学特講」,「免疫・血液病態検査科学特講」の4科目を配置し,それぞれの特講には演習科目を併置する。「ゲノム・微生物病態検査科学特講・同演習」では,感染源・感染経路の早期解明を目的として高度な遺伝子解析法と免疫学的手法を修得し,感染症迅速検査法の開発を行える研究能力を養う。「生体システム機能検査科学特講・同演習」では,高速光学技術,生体情報伝達のメカニズム,早期病態把握のための検査・評価方法を修得し,生体から得られる情報解析を基盤とした生活習慣病の新たな検査法の開発・研究の能力を養成する。「病態病理検査科学特講・同演習」では,本邦に多くみられる消化管癌をテーマとして,その病理学的解析法・遺伝子解析法を修得し,早期検査法の開発・進展予防のための病理学的検査技術の研究開発ができる力を養う。「免疫・血液病態検査科学特講・同演習」では,遺伝子解析法や培養技術を学び,糸球体腎炎の発症機構解析法・各種膠原病病態解析法,造血器悪性腫瘍の病型や予後因子の解析法を修得し,早期発見及び進展予防のための検査法の開発を行える能力を養成する。
 
 以上のそれぞれの特講を通じて,自己の研究課題の方向性を獲得する。以上の各特講は,研究の展開ができるような幅広い領域の動向について教授し,各分野に関する専門的知識を身に付けるとともに高い研究能力を育むものであり,研究者養成とともに,高度医療専門職者養成にも対応するものである。これらの講義と併行して行われる演習では,教育研究者志向の学生に対しては,新しい検査技術を開発する上で必要な内容の演習を行い,また高度医療専門職者志向の学生に対しては最新の検査技術を有効に応用するための演習を行う。
 
 「保健学特定研究(検査技術科学)」では,研究指導教員の指導を受けながら研究をすすめる。この場合,研究指導補佐教員は研究指導教員との連携のもとに,研究計画の妥当性の検討,定期的な研究進捗状況の点検,並びに学会報告や科学雑誌投稿の技術指導等の研究支援を行う。また専門を異にする教員を交えて行われる中間発表で,多面的な視点からの研究内容の検討を行いつつ研究を完成させていく。高度医療専門職者を志向する学生の研究発表においては,学内外の実務家を招き,意見交換を行う。