JSTさくらサイエンスプログラムによるスリランカ・ペラデニヤ大学との交流

 2023年12月5〜10日、スリランカ・ペラデニヤ大学から、若手教員5人、学生5人、計10人の方々をお招きして交流を行いました。少し詳しくご紹介します。
【背景】医師の絶対数が足りないアジア諸国では、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師等のコメディカル職の知識・技術を高めることで、良好な保健医療サービスの提供を実現している国が少なくありません。スリランカでも、ペラデニヤ大学が2006年に保健学部を設置してコメディカル職の高度人材化を推進し、新潟大学はこれを継続的に支援してきました。
【目的】今回の計画は、コロナ禍によって中断していた同大学との交流を再開し、「社会資源の不足する地域における医療提供の持続可能化」という両大学に共通の課題を設定して、ペラデニア大学の若手教員と優秀な学生を招へいし、(1)保健学領域の先進的研究、(2)大学院レベルの高度ヘルスサイエンス人材養成の体験、(3)医療現場での高度ヘルスサイエンス人材の役割について、講義・演習・フィールド学習によって学んでいただくことを目的とするものです。
【学術交流】来訪者の専門分野によって3つのプログラムを用意し、(A)看護学分野における工学技術の活用(がん患者等の歩行能力の3Dセンサ・加速度センサによる多次元解析や痛み評価のためのFace Tracking解析等)、(B)放射線技術科学分野における先進的画像診断技術の開発(CT・MRI等を用いた画像診断技術等)、(C)検査技術科学分野における分子生物学的技術を用いた超迅速検査法(飲料ボトルやスマートフォンなど生活環境中の微生物の超迅速検査法)を、講義と演習で学んでいただきました。
【文化交流】成田空港から新潟までの移動時に東京・浅草に立ち寄り、神道と仏教が共存する宗教施設を核として商業や芸能などのユニークな大衆文化が発達した日本固有の習俗を見学していただきました。また、新潟から成田空港までの移動時には、新潟市近郊にある北方文化博物館に立ち寄り、豪雪地帯新潟における独自の生活文化を学んでいただきました。さらには、学生で国際交流活動を行っているOliveのメンバーとともに体を動かすゲームを楽しむなど、日本の学生や教員との親交を深めていただきました。
【参加者の感想など】参加者へのアンケートでは、全員がとても満足したと回答しました。「プログラムは素晴らしいものでした。充実したアカデミックなプログラムに加え、新潟県立北方博物館への訪問も本当に楽しかったです。」「日本が大好きになりました。」「スタッフの皆さんも、親切で丁寧でフレンドリーでした。」「日本のアカデミック・コミュニティーと接触する素晴らしい機会で、将来の共同研究や進学の機会に役立つと思いました」等々の感想をお寄せいただきました。