2008年8月

男性喫煙率、都道府県格差2倍=岐阜28%、香川60%-女性は3倍・NPO調査

特定非営利活動法人(NPO法人)日本禁煙学会(理事長・作田学杏林大学教授)は25日、都道府県の喫煙対策などに関する初の調査結果を発表した。男性の喫煙率は、低い順に1位の岐阜28.4%から最下位の香川60.0%まで、約2倍の開きがあった。

同学会は、住民の喫煙率や自治体施設の受動喫煙対策などに関するアンケート用紙を、2月から4月にかけて都道府県に送付。締め切りまでに回答がなかった自治体には直接電話で連絡し、100%回収した。

男性の喫煙率は、低い順に岐阜、兵庫(31.7%)、山口(34.1%)。高かったのは、香川、京都(54.8%)、茨城(53.8%)だった。

女性で最も低いのは愛媛の4.2%で、次いで山口、大分、鳥取、島根の4.4%。最下位は宮城の13.5%で、奈良13.3%、東京12.9%と続いた。

2008年8月25日 時事通信

<喫煙>男女とも歯学部生が高率 医療系学生で 厚労省調査

将来医療、保健の専門家を目指す学生の喫煙率を調べたところ、歯学部生は男性62%、女性35%で最も高く、患者の喫煙に関しても比較的寛容であることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。また、女性に限定すると全学部で全国平均を上回っていた。喫煙は歯周病を発症、悪化させる危険因子としても知られる。主任研究者の林謙治・国立保健医療科学院次長は「将来患者を指導する立場として、学生のうちから喫煙の影響についてしっかり学ぶ必要がある」としている。

研究班は昨年12月、保健医療分野の学部、学科を持つ大学のうち、協力を得られた医学部19校、歯学部8校、看護学部28校、栄養学部13校の学生を対象にアンケートを実施。各学部の4年生計6,312人(医1,590人、歯677人、看護2,545人、栄養1,500人)から回答を得た。

喫煙率は歯学部が最も高く54%。次いで医学部36%(男性39%、女性23%)、看護学部32%(男性47%、女性30%)、栄養学部27%(男性40%、女性25%)。05年度の国民健康・栄養調査によると、20代の喫煙率は男性49%、女性19%で、歯学部は男女とも平均を上回っていた。

喫煙者を対象に、ニコチン依存症の指標となる質問をしたところ、「起床後30分以内の喫煙」をすると答えた学生の割合は医58%、歯53%、看護29%、栄養24%。他の質問でも同様の傾向で、医歯学部生の喫煙者にニコチン依存症が多い可能性があるという。

一方、自らの喫煙について「保健、医療を学ぶ学生の立場上喫煙してはならない」と答えた人は、医、歯、栄養の各学部で6割を超え、将来の専門家としての自覚は高かった。だが、患者の喫煙に関し「患者の自由意志にゆだねるべき」と回答したのは、栄養学部が16%と非常に厳しい態度を示したが、医、看護学部はそれぞれ32%、歯学部が47%だった。

2008年8月20日 毎日新聞

タクシー、広がる禁煙「時代の流れ」滑り出し上々

タクシー車内での禁煙が全国に広がっている。名古屋や神奈川に続き、静岡や長野など各地で一斉禁煙がスタート。乗客とのトラブルや減収への懸念から二の足を踏んでいた業界がここにきて、「時代の流れ」とこぞって禁煙に踏み切る背景と実情を探った。(中曽根聖子)

「心配していた酔客とのトラブルもなく、逆に『よくぞやった』と激励の言葉をいただいた。業界のイメージアップにもつながっている」

先月11日から、首都圏で初めて県下一斉の全車禁煙に踏み切った神奈川県タクシー協会の牧野繁専務理事は胸を張る。

法人・個人合わせて約1万4,000台の禁煙を円滑に進めるため、協会では、ポスターやチラシ、新聞広告で周知徹底を図るとともに、「なぜ吸えないのか」「罰則はあるのか」など、乗客との間で予想されるQ&Aや対応マニュアルも作成した。乗客が強く喫煙を求めた場合は、車を止めて車外で吸ってもらうよう携帯灰皿も各事業者に配布した。

きめ細かな準備と事前のPR作戦が奏功したのか、7月中に協会に寄せられた反対意見はわずか4件だった。政令指定市の名古屋市とその近郊でも5月から全面禁煙がスタート。8,000台のタクシーを1日約15万人が利用するが、トラブルの報告例は皆無で、滑り出しは上々だ。

大都市圏での“成功”もあって、禁煙の動きは全国に拡大。389社(約3万4,000台)が加盟する東京乗用旅客自動車協会も今月、来年1月からの実施を決めた。

鉄道や飛行機など他の公共交通機関に比べ対策が遅れていたタクシー業界が、一気に動いた背景には利用者の強い要望が後押ししている。喫煙率全国1位の北海道で1月、北海道管区行政評価局が約330人を対象に行った調査で、タクシーの受動喫煙について約70パーセントが「不快」と回答。約63パーセントが禁煙タクシーを「もっと導入してほしい」と答えた。

「高齢者や子供連れの母親、通院中の人から『たばこのにおいをなんとかして』という要望があり、禁煙は大歓迎を受けている」と名古屋タクシー協会の永山明光専務理事。全国に先駆けて禁煙化に取り組んだ大分県タクシー協会の漢二美会長も「タクシーは個室だから他の交通機関とは違うという考えもあったが、クリーンな車内は時代の流れ」と断言。事実、たばこのにおいを敬遠して他の交通機関を使っていた乗客が戻ってきたという。

大勢が利用する公共の場所での受動喫煙防止を定めた健康増進法が施行されたのは平成15年。窓を閉め切ったタクシーでたばこを1本吸うと、車内の粉塵濃度が国の法定基準の12倍になるという調査もあり、乗客と乗務員の健康を守る禁煙は当然の措置ともいえる。

それでも、ルールが現場に浸透するには時間がかかりそう。横浜駅前で客待ちしていた喫煙歴45年の乗務員(64)は「職場でも電車でもがまんしてタクシーの中の一服が楽しみという深夜帰宅のお客さんに吸うなとは言えない」と本音を漏らす。

売り上げ減少やトラブル懸念から、まだまだ禁煙に二の足を踏む事業者も多いが、日本禁煙学会理事長で杏林大学医学部の作田学客員教授は「たばこの煙は単に不快というだけでなく確実に健康被害を起こす。そのにおいは命が脅かされるサインであることを認識して」と話している。

2008年8月16日 産経新聞

2008年7月

タクシー全面禁煙:県内禁煙、高く評価 訴訟の元原告・平田さん講演/神奈川

「乗務員の“人権宣言”」

タクシー禁煙化訴訟の元原告で川崎市幸区のタクシー運転手、平田信夫さん(64)が18日、横浜市内で「タクシー全面禁煙の願い」と題して講演した。平田さんは今月11日から首都圏で初めてスタートした県内タクシーの全面禁煙化を「1年前は考えられなかった」と高く評価。狭い車内で客が吸うたばこの濃厚な煙に悩まされた経験を踏まえ「禁煙タクシーはタクシー乗務員の“人権宣言”」と訴えた。

平田さんはタクシー運転手になって1年ほどたったころから客が吸うたばこの煙がつらくなり、会社側に禁煙車導入を求め署名運動などを展開。04年7月にほかのタクシー運転手らと「国がタクシーを禁煙にしないため受動喫煙で健康被害を受けた」として東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こした。同地裁は05年12月に請求は棄却したが「タクシーの全面禁煙化が望ましい」と指摘。原告側は「実質勝訴」と受け止め、控訴しなかった。

講演で平田さんは、全国のタクシーの禁煙車両率が03年3月末は1.18%しかなかったのに、神奈川が全面禁煙化した今月11日から14.6%となり、今年末には33.9%となりそうとの見通しを紹介。「将来のタクシーは運転手が乗務2時間前から喫煙を禁止し、利用者も乗車直前の喫煙はやめるべきだ。禁煙運動は煙を憎んで人を憎まず。禁煙は愛です」と訴えた。

横浜地裁では現在、肺がん患者らが日本たばこ産業(JT)や国を相手取って起こした損害賠償請求訴訟も進行中で、次回の10月10日には原告本人への尋問が予定されている。

2008年7月19日 毎日新聞

<肺がん遺伝子>自治医大などが新発見 早期診断に朗報か

喫煙者の肺がんの細胞から、肺がんを引き起こす新たな遺伝子を、自治医科大などの研究グループが発見した。グループは、喫煙が原因でできた異常な遺伝子とみており、新たな治療薬や診断法の開発につながる可能性がある。12日付の英科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載された。

肺がんは日米でがんの死亡率の1位。EGFRと呼ばれる遺伝子の変異が関係しているとされるが、この遺伝子変異は非喫煙者に多く、喫煙者の肺がんに関与する遺伝子は分かっていなかった。

グループは、喫煙歴のある肺がん男性患者のがん細胞から多数の遺伝子を採取し、正常な細胞を使って実験、がん化を進める遺伝子を探した。その結果、「EML4」と「ALK」という二つの遺伝子が半分ずつ融合した異常な遺伝子を発見。マウスを使った実験などから、この遺伝子が、がん細胞を無制限に増殖させる酵素を作り出すことを突き止めた。

この遺伝子を他の肺がん患者75人で調べたところ、7%にあたる5人から見つかった。5人のうち喫煙者は4人、非喫煙者1人だった。

グループの間野博行・同大教授は「この遺伝子の有無は痰(たん)の検査で調べられ、早期診断に応用できそうだ。この遺伝子の働きを抑える物質が見つかれば、新たな治療薬の開発にもつながるだろう」と話している。

2008年7月12日 毎日新聞

看護職の喫煙率を低下させよう 県看護協会が取り組み

県看護協会(松本市)は、働くほとんどが女性の看護師や助産師といった看護職の喫煙率を下げるため、病院で禁煙を進めるリーダーを育てる研修会を企画し、看護学生の喫煙調査にも乗り出した。同協会の独自調査と県などの調査を比べると、女性看護職の喫煙率は女性の喫煙率よりも高い。健康増進法は施設管理者に受動喫煙防止策も義務付けており、看護職への禁煙指導を本格化させる。

同協会が2003年度に実施した喫煙関係の調査結果(560人回答)によると、県内の女性看護職の喫煙率は18.3%。厚生労働省が調査した05年度の女性の喫煙率よりも7.0ポイント高く、県内の女性の喫煙率(04年、5.6%)に比べると、12.7ポイントも高い。

同協会は「看護職は年齢が上がっても吸い続ける人が多い」「動機は、イライラした気分を和らげるためとする人も多い」と分析する。

県看護協会は昨年度、「たばこ対策プロジェクト委員会」を発足し、本年度は具体的な活動を展開。まず取り組むのが、各病院で看護職員に呼び掛ける「禁煙支援リーダー」の養成だ。8月、松本市で、3日間にわたり、ガムを使うニコチン代替療法といった禁煙支援方法を指導。参加者には禁煙指導の企画書も書いてもらい、それぞれの職場に戻って禁煙活動の推進役を務めてもらう。

このほか、6月には将来の看護職を育てる県内の看護大学や専門学校など計26校に喫煙に関するアンケートを配布した。2,000人余の回答があり、年内に調査結果を分析し、各校へ内容を伝え、禁煙運動を進めてもらう計画だ。

最近は施設内を全面禁煙にする病院も増えている。プロジェクトの野村純子委員長(52)は「禁煙をサポートする態勢を整えたい」。同協会の西沢喜代子会長は「きつい労働や夜勤からくるストレスが原因だが、禁煙を指導する立場として、喫煙は好ましくないし、説得力もなくなる。受動喫煙の被害を起こさないためにも、喫煙率を下げたい」と話している。

2008年7月6日 信濃毎日新聞

2008年6月

精神科病院で全面禁煙/糸満・南山病院

糸満市の南山病院が5月1日から、県内の精神科病院で初めて敷地内全面禁煙に踏み切った。精神科の敷地内全面禁煙は全国的にも少ない。同院では、入院患者や職員の喫煙率は約6割だったが、現在、患者ゼロ、職員1割以下と大幅に減少した。全面禁煙と同時に禁煙外来もスタートさせた。開始から約1カ月がたったが、患者らから「体調がよくなった」「病室がきれいになった」など評価の声が上がっている。(宮城貴奈)

精神科では一般的に「患者のリラックスにたばこは良い」との考えがあり、職員からも「精神科で禁煙は難しい」「患者が余計、不安定になるのでは」との意見もあった。

しかし、譜久原朝和院長は精神科閉鎖病棟での火災を懸念し、約3年前から禁煙勉強会のほか、分煙室を設置したり、喫煙時間を決めるなど徐々に喫煙しにくい環境づくりを進めてきた。禁煙に成功した職員が体験談を話したり、職員らで禁煙広報誌を作製、名札に禁煙シールやアップリケを作るなど全面禁煙に向けて取り組んできた。

1日に約60本吸う患者が禁煙に成功すると、「あの人が禁煙できたなら、私もできる」と勉強会の参加者が増えるなど禁煙が広まった。その結果、入院患者約200人中、約6割もいた喫煙者はゼロに。約百90人の職員の半数が喫煙者だったが、1割以下まで減った。

同院では敷地内禁煙の重要な取り組みとして(1)職員・患者が喫煙について勉強し、正しい知識を持つ(2)職員が意識改革をして、たばこのない環境を整備すること―を挙げる。

禁煙できた女性患者は「体調がよくなった。家族に迷惑(副流煙や経済的負担)を掛けずに済む」。喫煙していない患者からも「(全面禁煙にして)病室がきれいになった」など声が上がっている。

今のところ、患者の禁煙による体調の悪化は見られないという。譜久原院長は「患者が依存症になる前に、精神科も禁煙に力を入れる必要がある。本病院が突破口となって、精神科でも敷地内全面禁煙がどんどん広がってほしい」と語った。

2008年6月5日 沖縄タイムス

2008年5月

<糖尿病>合併症の「腎症」、喫煙でリスク高く…大学研究班

肥満や運動不足などが原因とされ、国内糖尿病患者の95%以上を占める「2型糖尿病」の男性患者のうち、喫煙歴のある人は合併症の「糖尿病性腎症」を発症しやすく、喫煙歴が長く1日の本数も多いほど発症リスクが高いことが、お茶の水女子大学などの研究チームの調査で分かった。

2008年5月1日 毎日新聞

2008年4月

'07記者リポート:内藤毅郎医師に聞く、禁煙のススメ/富山

順調なら2カ月で-「責めずに治療勧めて」

年間約11万人も、喫煙が原因で死亡している日本。その成人喫煙率は男性43%、女性12%(04年厚生労働省調査)。自分でたばこを吸う「能動喫煙」はもちろん、他人の煙を吸う「受動喫煙」でも、さまざまな疾患が引き起こされるのは、もはや常識。なのにやめられない人も多い。そこで、日本禁煙学会の認定専門医、内藤毅郎医師(48)=富山市=の禁煙講座を取材してみた。【青山郁子】

健康への害

成人に及ぼす健康被害としては、(1)がん(2)肺気腫(3)動脈硬化が3大リスク。そのほかにも多くの病気を引き起こす要因となる。特に女性にとっては、喫煙で不妊の危険性が高まるほか、吸わない人よりも流産や早産が約1.8~13.3倍も起こりやすくなるというデータもある。また、2,500グラム以下の低体重児が生まれる頻度も2倍になる。

ストップ未成年

民間調査では、未成年の喫煙率自体は近年、減少傾向にあるものの、2年前のデータでは高校3年生の喫煙経験率は男子42%、女子27%。細胞分裂が活発な子どもの体には、たばこは特に悪影響を及ぼし、将来の病気発生リスクを大きく高め、禁煙も困難にする。

これをやめさせるために内藤医師は「たばこの値段を大幅に値上げし、自動販売機を撤廃すべきだ」と訴える。現在の価格は子どもの小遣いの範囲内であるうえ、全国に50万台以上あるといわれる自販機は、ほとんどが店舗外に設置されているため、だれでも買える。欧米では未成年者が買えないよう、店員がいるすぐそばなど置き場所が厳しく制限されている。

日常的な喫煙者の大半が20歳前から喫煙を始めているといわれ、内藤医師は「未成年者の喫煙を根絶すれば、喫煙者も大きく減る」と主張する。

自販機は違反?

日本は、WHO(世界保健機関)の「たばこ規制枠組み条約」を04年に批准している。この条約は、たばこ対策が遅れている国を国際水準に押し上げるのが目的で、項目の中には「自動販売機の禁止」も盛り込まれている。

そこで未成年が買えないよう、IDカード付き自販機の運用も検討されているが、これは成人の喫煙にお墨付きを与えるうえ、罰則規定もないことから、効果には疑問も持たれている。

納税額より損失

喫煙者の正当性の主張の一つが、「たばこ税」を払っていること。日本たばこ産業(JT)の株式の3分の2を、財務省が保有している。

たばこ税額は03年で約2兆円。ところが一方で、喫煙によって起こる病気の治療費や、寿命を縮めることなどで発生する社会的損失は約7兆円とされる。差し引きすると、国民1人当たり4万円ほど損している計算となる。

つまり、全面的禁煙を実施した方が、国家財政にも家計にも、有益だということだ。

最新の禁煙治療

喫煙者の8割は「一度は禁煙したい」と思ったことがあるという。現在、最も有効とされる治療方法は「禁煙パッチ」。禁煙時の禁断症状を、少量のニコチンを体に浸透させることで緩和させるもので、1日1枚体のどこかに張るだけと簡単。順調なら約2カ月で禁煙できるという。昨年4月から保険治療が適用され、治療費は1万円程度と少々高価だが、内藤医師のクリニックでは成功率が約60%と効果も高い。

正しい知識を

さらに危惧(きぐ)されるのが「正確な知識が伝わっていない」点。たばこの害はアスベストの約100倍。煙に含まれる有害物質の中には、暗殺事件で話題になった「ポロニウム」まで含まれるものもある。さらに、覚せい剤よりも依存性が高いともいわれる。

「まずこれらの健康被害を理解し、かけがえのない人命をいかに奪っているかを理解すべきだ」と語る内藤医師は「ニコチン中毒なのだから、周囲は喫煙者を病気と認識し、責めたりせずに正しい治療を勧めてほしい」とアドバイスする。日本禁煙学会のホームページ(http://www.nosmoke55.jp/)では、各地で禁煙の保険治療ができる医院を紹介している。

最後に内藤医師は力説する。「禁煙すれば、お金はたまるし、体にもいい。いうことなし」

2008年4月30日 毎日新聞

成人識別型たばこ自販機お披露目

未成年者のたばこ購入防止のため、日本たばこ協会などが来年、全国で順次導入する成人識別機能付き自動販売機が16日、青森市で披露され、関係者が専用カードを使ったたばこ購入を体験した。県内では来年5月、設置されているたばこ自販機約7,300台のすべてを切り替える。

同日、同市の青森国際ホテルで開かれた「県未成年者喫煙防止対策推進協議会」(県たばこ販売協同組合協議会など主催)で、日本たばこ産業(JT)盛岡支店の担当者が、警察や行政の青少年担当者らに自販機の概要や使用方法を説明した。

識別機能付き自販機は、成人が日本たばこ協会に申請し発行された顔写真入りIC(集積回路)カードがないと、たばこを購入できない仕組み。ICカードには電子マネー機能を搭載し、キャッシュレスでたばこを買うこともできる。

2008年4月16日 東奥日報

2008年3月

18日から全面禁煙=東北、上越新幹線など-駅に喫煙ルーム・JR東

東北、上越新幹線などJR東日本の新幹線と特急で18日から、全面禁煙がスタートする。寝台列車など一部を除き、同社管内のほぼすべてが禁煙となる。

JR東海、西日本の東海道・山陽新幹線には禁煙車両も走っているが、JR東は「密閉された車内での完全な分煙は困難」などとして、全面禁煙を決めた。

このほか禁煙になるのは、山形、秋田両新幹線と「踊り子」「あずさ」など東海道線、中央線などを走る特急列車。

JR東は健康増進法施行を受け、2005年12月、比較的距離の短い長野新幹線などで禁煙にしたところ、利用者から全面禁煙の拡大を求める声が多く寄せられた。

今回の禁煙化に合わせ、同社は新幹線と特急が停車する計22駅のホームに喫煙ルームを新設し、喫煙者の理解を求めるという。

2008年3月17日 時事通信

JR:東日本、特急が全面禁煙 「しなの」は分煙化で対応--あすダイヤ改正 /長野

篠ノ井線で62年ぶり新駅開業

JR各社は18日からダイヤを改正し、県内では篠ノ井線で45年の冠着駅以来、62年ぶりの新駅となる「平田駅」が開業する。また、JR東日本の特急「あずさ」と「スーパーあずさ」が全面禁煙となる一方、JR東海の特急「(ワイドビュー)しなの」は喫煙車を残す。

同社長野支社によると、ダイヤ改正は主に長野新幹線と在来線や、在来線相互の接続を改善するために行われる。長野駅のほか、佐久平、岡谷、塩尻、松本の各駅での待ち合わせ時間が短縮される。新駅「平田駅」は、篠ノ井線の村井―南松本駅間に開業し、快速・普通列車上下計89本が停車する。

また、JR東日本は同日から一部の寝台列車などを除くほとんどの列車を禁煙とする。松本―新宿間などを結ぶ特急「あずさ」と「スーパーあずさ」は全車両が禁煙となる。同支社は「社会の禁煙志向に沿ったもの」としており、松本駅などで喫煙ルームを増設し、対応する。

一方、特急「しなの」は、4号車(指定席)を喫煙車とした。全面禁煙にしない理由について、車両を所有しているJR東海は「ビジネスマンの利用客が多く、ニーズがある」としている。同社などが今年7月から導入する新型新幹線「N700系」にも「喫煙ブース」を設けており、列車内の分煙化で対応する方針。

2008年3月17日 毎日新聞

「将来たばこ吸わない」増加=薬物、飲酒でも改善傾向-小中高生意識調査・文科省

「将来たばこは吸わない」と考えている男子児童・生徒が小学5年~高校3年の各学年すべてで7割前後となり、2000年の前回調査時より大幅に増えたことが13日、文部科学省のまとめで分かった。

女子の「吸わない」もかなり増加。また男女とも、覚せい剤などの薬物を「絶対使うべきでない」とする割合が増え、将来飲酒するとの答えも減る傾向を示した。

昨年2月、全国の公立学校から無作為に選んだ小学5、6年生約1万7,000人と中学生、高校生の各約2万5,000人を対象に、「喫煙」「薬物」「飲酒」について聞いた。

2008年3月13日 時事通信

2008年1月

禁煙?分煙? 対応分かれるJR各社

「全面禁煙」か「分煙」か-。公共交通機関の禁煙化が進むなか、列車内での対応をめぐってJR各社の判断が分かれている。

飛行機との競争で“配慮”も

JR東日本や北海道が3月から寝台特急を除いて全面禁煙に踏み切るのに対して、西日本は乗車時間が3時間を超えるかどうかで全面禁煙にする列車と、これまで通り喫煙車を設ける列車に分ける。東海や九州、四国も分煙派だ。西日本などは「乗客のニーズを考慮した」と強調するが、背景には飛行機との競争という事情もありそうだ。(経済部 松岡達郎)

他人のたばこの煙による「受動喫煙」に対して防止措置を取るよう、大勢の人が利用する施設の管理者に求める健康増進法が平成15年に施行されたことで禁煙化の流れに拍車がかかり、JR各社もそれぞれ対応を迫られるようになった。

いち早く昨年3月からエリア内発着の列車を全面禁煙にしたのはJR北海道。今年3月からは寝台特急以外はすべて禁煙にする。

東日本も3月からすべての新幹線と、寝台列車を除く特急を全面禁煙にする。17年末から長野新幹線と一部の特急を試験的に全面禁煙にしていたが、「それでも乗車率は落ちなかった」ことが背景にある。

西日本も3月のダイヤ改正で、京阪神と山陰方面を結ぶ運行時間が3時間未満の特急などを全面禁煙にする。京都・大阪と関西国際空港を結ぶ特急「はるか」などの喫煙コーナーは使用停止となり、一部の寝台列車を除き、特急のデッキ部分も禁煙となる。しかし、3時間超の特急は禁煙車両の割合を増やすものの、喫煙席は残す。

「3時間」の根拠はアンケート。特急のホームでたばこを吸っていた約900人に聞いたところ、約6割が「3時間なら吸わなくてもがまんできる」と回答したという。西日本は「長時間特急も新しい車両には喫煙ルームを置いて分煙を進める」との考えだ。

JR九州は九州新幹線や特急を全面禁煙にしたが、運行時間が5時間を超える一部の長距離特急には喫煙車を残す。四国も一部の古い車両以外の主力特急に23年度までに順次、喫煙ルームを設置することで分煙を目指したいという。

車両を喫煙車と禁煙車とに分けるこれまでの方式では、ドアの開閉時などにどうしても煙やにおいが流れ込み、受動喫煙が避けられない。この認識では、JR各社は一致している。

それでも西日本などが分煙列車を一部に残すのは、「愛煙家のニーズがある」からだ。

東海道・山陽新幹線は昨年3月、16両編成のうち喫煙車を5両から4両に減らしたが、喫煙車から先に座席が売り切れるという。その背景には「飛行機との乗客獲得競争がある」と関係者は指摘する。

東京-博多間で約5時間かかる東海道・山陽新幹線などを全面禁煙にすると、喫煙者は、禁煙時間が短くてすむ飛行機に移る可能性がある。休憩時間のある長距離バスも、その意味ではライバルだ。

喫煙者の6割が3時間までたばこを我慢できると回答したJR西日本の調査は、逆にいうと、3時間以上の禁煙を迫られるなら、他の交通機関を選ぶ可能性を示している。

7月に東海道・山陽新幹線に投入する新型車両「N700系のぞみ」は初めて全座席禁煙となるが、16両編成の計6ヵ所に最新式の喫煙ルームを設置する。光触媒による消臭効果でにおいを抑え、排煙装置を常時稼働させて煙がデッキに流れ出るのを防いで完全分煙化を目指すという。

JR東海の関係者は「分煙にはコストがかかるが、喫煙者の快適性にも配慮したい」と強調した。

【用語解説】受動喫煙
喫煙者が吐き出す煙や、たばこの先端から上る副流煙を周囲の人が吸い込むこと。平成15年に施行された健康増進法の25条で、多くの人が集まる公共の場所の管理者に対し、受動喫煙の防止措置に努めるよう規定され、企業や官公庁、公共交通機関などで禁煙化や分煙化が急速に進んだ。

2008年1月17日 Sankei Web