新潟県たばこ対策研究会主催
2016 世界禁煙デー 市民公開講座のご報告

概要

開催日:
2016年5月28日
開催時間:
13:30~15:00
開催場所:
新潟市 新潟大学駅南キャンパス ときめいと

 5月31日の世界禁煙デー直前の5月28日(土)に「2016 世界禁煙デー 市民公開講座」を開催いたしました。

 昨年ご好評をいただいた「卒煙(禁煙)チャレンジ 山あり? 谷あり?経験者を囲む会」の第2弾として,今年も2名の卒煙(禁煙)経験者をお招きし,ご自身の経験談をお話ししていただきました。そして,喫煙者,禁煙したいと思っている方,禁煙中の方、禁煙をサポートしたいと思っている方などさまざまな方々とあたたかな雰囲気の中で気軽に情報交換ができた貴重な時間となりました。

たばこミニ情報

 開会挨拶に引き続き,例年通り事務局より県内外の最新たばこ情報をご紹介しました。主な内容は,今年度のサミットや関連閣僚会議の開催地のうち,都道府県庁内に喫煙所が残っているのは新潟県だけとなったこと,しかも全国47都道府県庁のうち34道府県はすでに庁舎内禁煙が実現していることなどについて紹介がありました。最新のトピックスとしては今年の2016年4月より,35歳未満の方に対する禁煙治療の保険適用条件が緩和され(「喫煙本数×喫煙年数が200以上」という条件が不要になりました!),若い世代にとって禁煙を始めるハードルが低くなったことが挙げられていました。
 たばこミニ情報に続いては,禁煙を経験した2名の方から,禁煙を試みたいきさつや,どのような思いや体験をして今に至るのかという話を具体的にお聞かせいただきました。

経験者のお話し1
 内藤 久敬 様

 内藤さんは,昨年に行われたこの市民公開講座がきっかけで,禁煙を1年間継続できている方です。昨年は,市民公開講座の参加者でしたが,今年は話し手として参加していただきました。
 過去に禁煙をしてみたこともあったけれども数日程度だったそうです。昨年,新聞記事で知った市民公開講座に,たばこをやめるきっかけになればと軽い気持ちで参加。禁煙経験者の方々の話を直接聞いて「俺もちょっとやってみようかな」という思いで,1週間もたたないうちに禁煙外来に足を運んで禁煙を開始し,現在もチャレンジ継続中とのことです。公開講座でパッチ以外に内服薬という治療法があることを知り,また禁煙できないのは意志が弱いからでなく依存症という病気だからと思って風邪薬を飲んで風邪を治すような気持ちで飲み始めたそうです。自ら情報収集をして,禁煙にはどのような方法があるのか,自分に合うものは何だろうなどしっかり考えたり,朝起きてから寝るまでの間で,いつタバコを吸っていたか,その時はおいしかったのか,おいしくなかったのかなどの自己分析も実施したそうです。
 禁煙後,歯ぐきからの出血や痰が出なくなるなど身体の変化も実感しているとのことでした。
 最後に,内藤さんは,禁煙は自分自身に投資とすることでもあると語り,たばこをやめられるかどうかは意志の強さではなく,自分に合った禁煙方法に出会えるかどうかであるというメッセージをいただきました。そして,来年もまたこの会に来て「継続していますよ」と言いたいと,朗らかな表情でおっしゃっていました。

経験者のお話し2 
 阿達 安生 様

 たばこを吸い始めたのは20歳を超えてからで,当時好きな人が吸っていて格好良かったからとおっしゃっていました。1日2箱も吸っていて自分はやめないと思っていましたが,職場の「たばこ講演会」でスモーカライザー測定をしたり,たばこの影響で肺が真っ黒になっているポスターを見て,肺や血管をきれいにしたいと思って禁煙チャレンジを開始されたそうです。
 阿達さんが実践されたのは,禁煙時の行動や思いを日記形式で記録していくという方法でした。当日は実際の「「禁煙日記」のコピーを参加者に配布してくださり,日記を見ながら,休日(日曜日)に家族に宣言して禁煙を開始したこと,最初の頃は気分転換に水を飲むようにしていたこと,3日目からたばこのにおいに敏感になったこと,階段を歩く,深呼吸する,飴,ガムなど気分のコントロールや口寂しさへの対処法など,どのような試行錯誤をしたのか,困難をどう乗り越えてきたのかを時系列で紹介してくださいました。禁煙日記を記録することは,自分を応援し励ますことにもなったそうです。
 「禁煙日記」は,約2か月間の間,1日も休むことなく,とても詳しくつづられていましたので,参加者である私たちも日記を読むだけで,禁煙してから毎日すこしずつ変化していく身体の様子や心の様子を自分のことのように感じられ,禁煙チャレンジを疑似体験している感覚が得られました。
 また特に阿達さんがおっしゃっていたのは,禁煙にはタイミングやきっかけが大事ということでした。実は禁煙開始日は,お嬢さんの誕生日でした。そのお嬢さんが結婚式を控えていたので,自分がたばこくさいと将来おじいちゃんになったときに孫を抱かせてもらえないかもしれないという思いもあったと語ってくださいました。
 

茶話会

 2つのグループに分かれて,先ほど禁煙経験をご紹介してくださった方をお1人ずつ囲む形となり,おいしいお菓子を食べながら様々なことについて楽しく語り合いました。両グループとも,参加者同士の顔が見える状態で気軽に話をすることができ,和やかな雰囲気の茶話会となりました。
 茶話会では,禁煙経験者の方に対して,さらに詳しく禁煙時の経験や思いを教えていただきました。また参加者の方がご自身の禁煙経験をお話しくださったり,仕事で健康づくりに関わっておられる参加者からは女性の禁煙サポートのむずかしさなどのお話もありました。そのほか,自分の家族の禁煙についてや,海外のたばこの値段やパッケージ,職場の禁煙状況やスモハラという言葉についてなど,幅広い話題で盛り上がりました。
 この市民講座をきっかけに出会った人たちの間で交わされる会話は,それぞれの立場や考え方の違いなども垣間見ることができ,また参加した方それぞれにとって,何かを得ることができるとても貴重な時間となったように思います。

事務局より

 経験者のお2人の話術に魅せられ,また茶話会も和気あいあいと盛り上がり,昨年同様とても楽しい公開講座になりました。
 参加者のみなさまからもたくさんの感想をいただきましたので一部をご紹介させていただきます。

  • 体験者の話は大変参考になりました。ありがとうございました。
  • きっかけを作ることが大切だと思った。禁煙の方法として,飲み薬があることを知った。父が喫煙者なので,今日の話をしてあげたいと思った。
  • 経験者から直接話を聞けて,何とか家族にもタバコをやめてほしいなとあらためて考えました。もっと、一般の方が参加して欲しいです。

 ご好評につき次年度は「経験者を囲む会 Part 3」を開催したいと考えています。
 身近な人の禁煙を応援したいという方,禁煙・卒煙の極意を聴きたいという方,そして自分の経験談を発表したいという方も,ぜひ来年会場へいらしてください!