2013年 新潟県たばこ対策研究会主催 市民公開講座のご報告

概要

開催日:
2013年9月1日
開催時間:
10:00~12:00
開催場所:
新潟市 新潟大学駅南キャンパス ときめいと

 2013年9月1日(日)に新潟大学駅南キャンパスときめいとにて,2013年度市民公開講座を開催いたしました。

 平成15年に「健康増進法」で「受動喫煙防止」が定められて10年が過ぎました。みなさまの周りの環境はいかがでしょうか。今回の公開講座では,新潟県内における新しい喫煙対策の取り組みを2つご紹介いただきました。

第1部 
「魚沼市受動喫煙防止の取り組みについて」
 魚沼市健康課健康増進室  下村 春美 様

 最初に、「地域で取り組むたばこ対策」としてテレビ放映された魚沼市の取り組みの模様をビデオでご紹介いただきました。

       

 続くご講演では、魚沼市での受動喫煙防止の取り組みは、平成18年に策定された「魚沼市健康づくり計画」に基づいて順次進められてきたことをお話しいただきました。
 平成21年には「公用車における全面禁煙」、平成22年に「勤務時間中における喫煙の禁止」に進んでいます。それらを進める根拠となった「健康増進法」をはじめとする受動喫煙の防止を定めた法律等を丁寧に紹介、解説をしていただきました。
 また平成21年には、魚沼市による「健康都市宣言」、小千谷魚沼の3師会による「タバコのない魚沼を目指す医療者宣言」が出されたとのことです。さらに、平成23年には魚沼市のまちづくり委員会が「受動喫煙防止条例」の制定を提言し、翌24年に“健康で誰もが安心して暮らせるまちを実現するため、たばこの煙を吸わされることを防止することができる環境の整備を促進すること”を目的として「受動喫煙防止対策のための基本指針骨子」が策定されたとのことです。
 市民および職員への周知期間を半年間設けた後、市が所有・管理する施設を禁煙にし、灰皿も撤去されています。現在ほとんどの市所有の施設の敷地内禁煙が進んでいるとのことです。

 魚沼市の実際の取り組みについて詳細にご紹介いただき、参加者のみなさまからはとても参考になったとのご意見が寄せされました。

■質疑応答
Q:住民の反応はいかがでしょうか?
A:中には禁煙であることを知らないできて驚かれる方もいますが、施設が禁煙であることを説明すると納得されます。トラブルにはなっていません。

第2部
「新潟大学キャンパス全面禁煙化」
 新潟大学保健管理センター 真島 一郎 先生

 新潟大学は、平成25年4月から全キャンパスが全面禁煙になりました。
 その経緯について詳しくお話がありました。
 学生約13,000人、職員約3,000人が所属する新潟大学の健康を守るために、健康への悪影響が指摘される喫煙について、平成15年健康教室で取り組み始めたが、その後もキャンパス内巡視では、建物内外あちこちにタバコの吸い殻があり喫煙状況の惨状が推察されたそうです。
 アンケート(平成18年 職員、平成19年 学生)では、受動喫煙を経験している実態があり、その措置として分煙を徹底するよう費用をかけ対策をとりました。しかし引き続きの巡視、アンケート(平成22年)では、なおも約6割が受動喫煙を経験、多くが禁煙化に賛成であったことを受けて、平成23年に、学生・教職員の健康増進を図り、キャンパス内全面禁煙化の健全な環境を目指す「新潟大学喫煙対策基本方針」が決定されました。
 この対策には、まず指定された場所以外の喫煙を禁止する「キャンパス内禁煙」を実施し、平成25年4月1日からは「キャンパス内全面禁煙への移行」を行うこと、及び「教育啓発活動」の実施、保健管理センターにおける「禁煙支援」、キャンパス内における「タバコの販売禁止」が含まれています。本対策は本学の学生、教職員、さらに本学のキャンパス内に立ち入る学外者も対象となります。
 講師の真島先生が所属されている保健管理センターでは、個別相談や禁煙支援を担い、希望者には呼吸機能・呼気一酸化炭素濃度の測定、ニコチンパッチの無料提供(1週間)といった実際的な支援の提供、禁煙リーフレットを作成し情報の発信をすすめているとのことです。
 最後に、全面禁煙化には学生の喫煙率低下というエビデンスもあるので、今後はいかに継続していくかが重要になっている、困難も予想されるが努めていきたいというお話でした。

新潟大学のキャンパス全面禁煙化についてはこちらをご覧下さい。

■質疑応答

Q:キャンパス内巡視は、具体的にどのようにしているのでしょうか?
A:巡視は、2週に1回ほどを目安にすすめていますが、具体的には各部局に一任しています。巡視自体は禁煙化の周知につながり、分かりやすいたすきを掛ける、ひとりでは行わない、その場の質問等に議論しないなどの基本指針を作って実施しています。

Q:実施されている禁煙支援について詳しく知りたいです。
A:現在までに約30人に禁煙支援を行いました。対象者は学生が多いです。禁煙の成功率は全体では4割程度ですが、職員の方の禁煙成功率が高い印象があります。

事務局より

 広報の時間が短かったにもかかわらず,多くのみなさまにご参加いただき,事務局として感謝申し上げます。
 また会終了後も講師の方々への個別質問や参加者同士のディスカッションが会場内で活発に行われ,たばこ対策の必要性をあらためて感じることのできる貴重な機会になりました。
 次年度も引き続き公開講座を開催いたしますので,「これをテーマとして取り上げて欲しい」,「この人の話を聞きたい」など,公開講座へのご要望,ご意見がございましたら,ぜひお寄せ下さい。