2010年 世界禁煙デー 市民公開講座

概要

開催日:
2010年5月30日(日)
開催時間:
14:00~16:00
開催場所:
新潟大学 駅南キャンパス ときめいと

 世界禁煙デーの前日となる5月30日(日)に2010年度世界禁煙デー市民公開講座を,新潟大学駅南キャンパスときめいとにて開催しました。

 2010年のテーマは,喫煙との関連が深い「歯周病」です。

 喫煙と肺がんの関係はよく知られていますが,歯周病については残念ながらまだご存じない方も多いようです。実際に,新潟県では,「たばこを吸うと歯周病にかかりやすくなる」ことを知っている人は45.8%と半分にも満たないのが現状です(出典:平成20年県民健康・栄養実態調査報告書)。

たばこミニ情報

 開会挨拶に引き続き,「たばこミニ情報」と題して,例年どおり事務局より近年のたばこ対策の歩みや最新のたばこ情報をご紹介しました。

特別講演
「タバコと歯周病の本当はとっても怖~い関係のお話」
 日本歯科大学新潟病院 総合診療科 大森みさき先生

大森みさき先生

 講師の大森先生は,国内の歯科分野におけるたばこ対策牽引者のお一人です。

 今年2月に新潟市で開催されました「第19回日本禁煙推進医師歯科医師連盟総会・学術総会」でも実行委員長としてご尽力され,全国から多くの参加者が集う大盛会となりました。

 
 本日の特別講演は,来場者の自覚症状チェックから始まりました。

 「歯みがきすると歯ぐきから出血する人はいますか?」の問いかけには,ほぼ全員が手を挙げました。「つまようじを使う人は?」,「5年以上歯医者に行っていない人は?」など次々と投げかけられる問いに会場の手が挙がります。そして「ここまでで手が挙がった方は,歯周病になっているか,予備軍の可能性がありますよ~」というお言葉が・・・。

 つかみは十分というスタートです。

 
 さらに,若いのに入れ歯になってしまった方のお話しなどご自身の診療経験を交えながら,人の歯は28本(親知らずを除いて)あること,年齢とともに歯の数が減ってくること,歯が抜かれる原因の4割は歯周病であること,25歳以上になると8割以上の人が何らかの歯周病症状を持っていることなどなど,知っているようで知らない歯と歯ぐきの健康についてテンポ良くお話しが続きます。

 「歯の病気は絶対に勝手には治らない! 自然治癒はしないんです。予防が大切!」,「1年に2回ぐらいは歯科検診に行きましょう」という具体的なアドバイスもいただきました。

 
 そしていよいよタバコと歯周病のふか~い関係のお話しに進みます。

 歯周病の生活環境リスクの中で,最大のものが喫煙であり,重度の喫煙者は非喫煙者に比べ4.75倍も歯周病にかかりやすいというデータもあるそうです。また,喫煙が歯周病を引き起こすメカニズムについても,カラフルな図や実際の患者さんの口の中の写真やレントゲン写真などを使って,わかりやすくご説明下さいました。さらに喫煙者は歯周病になりやすいだけでなく,悪化しやすく,しかも治りにくいこと,インプラントの失敗率も喫煙者では高いなど,身近な喫煙者の方にお教えしたい内容が満載でした。

 喫煙者本人だけへの影響ではありません。受動喫煙で子どもの歯茎が黒くなってしまうというお話と写真には会場に驚きが広がりました。

 
 その他,海外のたばこのパッケージに印刷されているショッキングな写真や警告表示のご紹介や,国内の様々な学会が出している宣言等についての情報提供もあり,内容のとても濃いご講演でした

事務局より

 公開講座当日は五月晴れという言葉がぴったりするような晴天でした。そのお天気のようにエネルギーあふれる大森先生のご講演は,次から次へと話題が広がるスピーディーな展開で,会場はぐんぐん引き込まれ,あっという間に終了時間になってしまいました。

 噛めるということはQOLを保つためにも大切だとされています。たばこと歯周病の深い関係についてもっと多くのみなさまに知っていただけるよう,新潟県たばこ対策研究会でも引き続き歯と歯ぐきの健康についての情報を集め,発信していきたいと思います。