血液・腫瘍検査学 牛木隆志准教授と新潟大学歯学部 川瀬知之准教授らの研究グループは再生医療の発展を目指して、新潟大学において臨床と研究に取り組んでいます。

　Epigallocatechin-3-gallate(EGCG)はカテキンの一種であり、強い抗酸化活性により有害なフリーラジカルを中和し、抗炎症作用、抗発がん作用、神経保護作用などの薬理学的特性を有することが実証されています。しかしながら、生体内での化学的不安定性が問題であり、Drug Delivery Systemの開発が望まれていました。これまでその有力な候補としてリポソーム、ナノ粒子、ハイドロゲルなどが挙げられていましたが、いずれも複雑な合成プロセスや免疫反応を引き起こす可能性が示唆されていました。

　一方、プラズマジェルは自己血漿より熱処理によって生成されるタンパク質ベースの生体材料で、自己血由来であることから高い生体適合性を有すると共に自己免疫反応を最小限に抑えることが可能な生体材料です。今回、研究グループではEGCGとプラズマジェルの複合体を形成させることで、EGCGを安定的に放出可能な生体材料を開発しました。本複合生体材料は再生医療や組織工学分野での応用が期待されます。

　本研究成果は、国際自然科学誌「Journal of Functional Biomaterials」の2024年4月10日付（EST)オンライン版に掲載されました。

論文タイトル
Plasma Gel Matrix as a Promising Carrier of Epigallocatechin Gallate for Regenerative Medicine
著者
Takashi Ushiki, Tomoharu Mochizuki, Mami Osawa, Katsuya Suzuki, Tetsuhiro Tsujino, Taisuke Watanabe, Carlos Fernando Mourão, Tomoyuki Kawase
DOI
10.3390/jfb15040098