
新潟看護ケア研究学会 第12回学術集会長
佐藤 富貴子
(新潟青陵大学看護学部・大学院看護学研究科)
テーマ 「想いと思いをつむぐケア」
令和2年10月17日(土)に新潟看護ケア研究学会第12回学術集会を開催させていただきます。テーマは「想いと思いをつむぐケア」です。このテーマには、対象者との応答関係における一瞬一瞬を大切に、という意味が込められています。
皆さんは対象者と向き合う中で、「さっきはどうしてこんなことがわからなかったんだろう」と、問題解決の糸口にはっと気がついた経験をしたことはありませんか?ケアリングの理論家の一人であるノディングスは、「対象の現れるがまま静かに身をゆだねる」という受動性により、自分の注意の外にあった何かに気が付く余地が生まれる、この対象者に感応して「感じられること」を「想い」と表現しています。この応答関係で生じる「想い」、そして、相手に寄り添いたいという看護職の能動的な「思い」、これらが紡がれて、質の高い看護実践につながるというメッセージです。
このテーマのもと、今回の特別講演は、元金沢大学医薬保健研究域保健学系 教授 稲垣美智子先生にお願いしました。稲垣美智子先生は糖尿病をはじめ慢性的な経過を辿る患者に対する教育方法についてご研究され、なかでも面談、コミュニケーションを用いる「わざ」を要素化(細分化と構造化)し、技術化する研究をされておられます。どうぞ講演を楽しみにお待ちください。
本学会は、初代会長である故丹野かほる先生が中心となり、平成20年に「臨地と教育のコラボレーションをより強化する」ことを設立趣旨として発足しました。「看護専門職として、臨地および教育研究の場における実践智のコラボレーションを図り、双方向の成長を目指し、看護の発展に寄与する」こと等を目的に掲げ、毎年、学術集会が開催されてきました。
しかし、昨年は、「令和元年東日本台風」という大型台風の影響により、開催中止を余儀なくされました。今年も新型コロナウイルス感染症の影響が心配されるところではありますが、看護への期待が益々大きくなっている今、看護の発展に寄与するという本会の目的を軸に据えて、学術集会開催に向けた準備を進めていきたいと思います。
会員・非会員を問わず多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます。皆様の研究ニーズに触れる身近な学会として感じていただけるものと存じます。