2.基礎的な画像特徴量の計算

【概要】


画像の特徴を表す量として,”特徴量”がさまざまに定義できる.

その基礎的なものとして,画素値の平均(Mean),分散(Variance),ヒストグラムなどの統計的な特徴量を求めることが多い.


平均は,画像におけるすべての画素値,あるいは一定領域内の画素値の和を,画素数で割ることによって求めることができる

分散は,画像におけるすべての画素値,あるいは一定領域内の画素値の2乗平均と平均の2乗の差で求めることができる.

これは,画素値バラツキの指標となる.この指標は,分散の平方根である標準偏差(Standard Deviation)で示すことも多い.


ヒストグラムは,横軸に画素値,縦軸にその画素値の頻度をとった分布グラフである.


 演習2-1:基礎的な特徴量として,平均,標準偏差,ヒストグラムを求めてみよう!

使用する画像: 胸部X線画像 同心円チャート画像, シーメンスチャート画像


方法:

1.Image-Jを起動後, 対象画像を開く.

⇒「File」→「Open」を押し, 対象画像を選択.


2.計測対象を選択する.

⇒「Analyze」→「Set Measurements」を選択.

”Area” “Mean gray value” “Standard deviation” “Min and Max gray value”にチェックを入れる.


3.ヒストグラムと特徴量を表示する.

⇒ 「Analyze」→「Histogram」を選択.


4.領域の選択をして, 特徴量の相違を比較する.

⇒ 領域選択ツールを使用して, 任意の領域を選択し, 「Edit」→「Selection」→「Specify」でWidthとHeightを指定. Step3を実施する.


考察:


・得られた特徴量と視覚的な画像との関係を考えてみよう.


・領域選択ツールを利用して,領域を選択し,肺野の内外などの小領域の特徴量の相違を比較してみよう.



 演習2-2:病変側と対側(健常側)の特徴量を比較してみよう!

使用する画像: MRIの拡散強調像(DWI)


方法:

1.測定項目を設定する.

⇒ 「Analyze」→「Set Measurements」を開き,下記の項目にチェックを入れる:

(濃度ヒストグラムに由来する特徴量の算出に必要な項目を有効化しておく.)

  • ・Mean gray value(平均画素値)
  • ・Standard deviation(標準偏差)
  • ・Min & Max gray value(最小/最大画素値)
  • ・Median(中央値)
  • ・Modal gray value(最頻値)
  • ・Skewness(歪度)
  • ・Kurtosis(尖度)
  • ・Integrated density(総画素値)

2.Image-Jを起動後, 画像を開く.

⇒ 「File」→「Open」で 対象画像を選択.


3.病変側にROIを設定し,ROI Managerに追加する.

⇒ ツールバーの矩形または円ツールで病変部を囲み,「Analyze」→「Tools」→「ROI Manager」→ [Add].


4.病変側ROIを保持したまま,健常側ROIも保存する.

⇒ 病変側ROIを画像上でドラッグして反対側(健常側)へ移動し,[Add] をもう一度押して登録.

※ ROI Manager のリストに #1(病変), #2(健常)が並び,2つのROIが常に再利用できる状態になる.


5.数値特徴量を同一設定で一括測定する.

⇒ ROI Manager で #1(病変)と #2(健常)を複数選択(Ctrl/Shift)→ 「Measure」.


6.ヒストグラムを表示して比較する.

⇒ ROI Manager で #1(病変)を選択 → 「Analyze」→「Histogram」.続いて #2(健常)を選択 → 同様に「Histogram」.


考察:


・病変側と健常側のヒストグラムを比較し,その形状の違いが,各特徴量の値にどのように反映されているかを説明しよう.


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